今回は、9つあるインナーチャイルドのタイプの1つ、【ヘルパー】についての記事です。いつも誰かのために尽くしていませんか?「人の役に立ちたい」「誰かを助けたい」という思いが強すぎて、自分を後回しにしてしまう──。そんなあなたの中には、「ヘルパー」というインナーチャイルドが潜んでいるかもしれません。

「ヘルパーってどんな特徴があるんだろう?」「ヘルパーの行動パターンが知りたい」

このような疑問に答えていきます。

★この記事の内容は・・・

  • ヘルパーとは何かがわかるようになります
  • ヘルパーの形成過程がわかるようになります
  • ヘルパーの行動パターンがわかるようになります

心理セラピストとして、これまでに1000人以上のインナーチャイルドを癒してきた私が、詳しく解説します。最後まで読んでいただけるとうれしいです。

ヘルパー:他者を救うことで自分を保つインナーチャイルド

ヘルパー:他者を救うことで自分を保つインナーチャイルド

まずは、インナーチャイルドのヘルパータイプについて、そして、その形成過程と具体的な特徴を見ていきましょう。

ヘルパーとは?

「ヘルパー」は、幼少期に周囲を助ける役割を担うことで、自分の存在意義を見出していた子どもに多く見られるインナーチャイルドのタイプです。

ヘルパーの形成過程

ヘルパータイプは、子どもの頃に、親の代わりに家事や兄弟の面倒を見たり、病気の家族の世話をするなど、周囲の人の助けになることで、褒められ、認められてきました。

しかし、その献身の影には、隠された自己犠牲が存在しているのです。

その結果、他者を助けることを自分の存在価値と結びつけてしまい、大人になっても、常に誰かの役に立っていないと不安を感じたり、自分のニーズを後回しにしてまで、他人のニーズを優先してしまう傾向があります。

ヘルパーの特徴:自己犠牲と奉仕のサイクル

ヘルパータイプは、以下のような特徴を持つ傾向があります。

献身的
他人のために尽くすことに喜びを感じ、自分のことは後回しにしがちです。多くの場合、自己肯定感の欠如を他者への貢献で埋めようとする心理が働いています。

責任感が強い
何事も自分が責任を負い、完璧にこなそうとします。責任感を強く持つこと、他者へ貢献することが、彼らにとって自己肯定感を高め、心の安定を得るための手段となっているとも考えられます。

断れない
他人からの頼み事を断ることが苦手で、自分のキャパシティを超えても引き受けてしまいます。ヘルパーにとって他人のニーズに応えられないことは、自分に価値がないことを認めてしまう恐れがあるためです。

自己主張が苦手
自分の意見や気持ちを伝えることが苦手で、相手に合わせがちです。とにかく自分のニーズよりも、他人のニーズに重点を置いています。そのため自分の主張は二の次になります。

燃え尽きやすい
常に他人を優先するため、自分自身の心身が疲弊しやすく、燃え尽きてしまうことがあります。「人の役に立ちたい」「誰かを助けたい」という献身的な思いが強いヘルパーは、自分自身のケアがお疎かになりやすく、燃え尽きやすくなります。

ヘルパーの行動パターン:具体例

ヘルパーの行動パターン:具体例

幼少期に周囲を助ける役割を担うことで、自分の存在意義を見出していた子どもに多く見られるインナーチャイルドのタイプです。

ここでは、ヘルパーにみられる代表的な行動パターンを、具体例を交えて5つご紹介します。

1.依頼を断れない

自己肯定感が低く、周囲からの承認を強く求める傾向があるため、「ノー」と言えず、自分の限界を超えてまで、他者の要求に応じてしまいます。

例)
◉友人から旅行の計画を頼まれ、既に予定が詰まっているにも関わらず、断り切れずに引き受けてしまう。
◉職場で、自分だけでは処理しきれない量の仕事を任されても、残業や休日出勤をしてでも、何とかこなそうとする。
◉ボランティア活動に熱中するあまり、自分の時間や生活を犠牲にしてしまい、心身ともに疲弊してしまう。

2.過剰な責任感

他者の期待に応えなければいけない、という強迫観念にとらわれ、必要以上に責任を感じてしまいます。

例)
◉グループワークで、メンバーのミスを自分の責任だと感じてしまい、必要以上に謝罪したり、挽回しようと奔走したりする。
◉恋人が仕事で悩んでいると、何とかしてあげなければいけないと、自分のことよりも、恋人の問題解決にばかり意識が向いてしまう。
◉親の介護に追われ、自分の時間や生活を犠牲にしてまで、献身的に尽くそうとしてしまう。

3.自己主張を控える

「自分を主張すると、相手に嫌われてしまうかもしれない」「波風を立てたくない」という思いから、自分の意見を言わずに我慢してしまいます。

例)
◉食事会で、苦手な料理が出てきても、「嫌い」と言えずに、無理して食べてしまう。
◉会議で、自分なりの意見やアイデアがあっても、周囲の意見を尊重してしまい、発言するタイミングを逃してしまう。
◉パートナーとの関係で、不満や不安があっても、「わがままを言ってはいけない」と、自分の気持ちを押し殺してしまう。

4.他者への過剰な気遣い

常に周囲の状況や相手の気持ちを察知し、気を配ることに意識が集中しすぎてしまい、結果的に疲れてしまいます。

例)
◉友人と会話中、常に相手の反応を伺い、相手が喜んでくれるような話題を提供しようと努めてしまう。
◉職場の上司や同僚の機嫌を常に気にかけ、場の雰囲気を悪くしないように、細心の注意を払って行動してしまう。
◉家族の誰かが不機嫌だと、自分が何かしたのではないかと不安になり、顔色を伺ってしまう。

5.完璧主義

自分に完璧を求めすぎるあまり、目標が高くなりすぎ、結果的に達成できずに自己嫌悪に陥ってしまいます。

例)
◉プレゼンテーションで、完璧な内容を目指して準備に時間をかけすぎてしまい、余裕がなくなり、本番で緊張してしまう。
◉部屋の掃除や整理整頓にこだわりすぎてしまい、終わりが見えず、疲弊してしまう。
◉料理をするとき、レシピ通りに完璧に作ろうとするあまり、失敗を恐れ、料理を楽しむことができなくなってしまう。

これらの行動パターンは、いずれも「人に尽くすこと」「他者から認められること」を通して、自己肯定感を高めようとする行動として解釈できます。
しかし、これらの行動を続けることで、自分自身の心身のバランスを崩してしまう可能性があります。
真の意味で「他者を思いやる」ためには、まず自分自身が満たされている状態であることが大切です。

さいごに

ヘルパータイプは、優しく思いやりのある人が多い一方で、自己犠牲に陥りやすく、自分自身を苦しめてしまうことがあります。

しかし、自分自身の価値を認め、大切にすることで、より健全な人間関係を築き、自分らしく生きることが可能になります。