今回の記事は、アダルトチルドレンに関する誤解と真実についての記事です。「アダルトチルドレンは甘えているだけ」「治らない」「親が悪い」――こんな言葉を聞いたことはありませんか?実は、アダルトチルドレンについては、多くの誤解が蔓延しています。これらの誤解は、当事者を傷つけ、周囲の理解を妨げるだけでなく、適切なサポートや回復の機会を奪ってしまうかもしれません。
「アダルトチルドレンについて聞いたことはあるけど、正確な理解ができていない」「身近な人がアダルトチルドレンかもしれないと感じているけど、その特徴や症状について誤解している可能性がある」「アダルトチルドレンに関する情報が錯綜していて、正確な情報を得たいと考えていんだけど。。」
このような疑問に答えていきます。
★この記事の内容は・・・
- アダルトチルドレンの一般的にどのような誤解があるかがわかるようになります
- アダルトチルドレンについて、より正確な情報を得ることができるようになります
心理セラピストとして、これまでに1000人以上のアダルトチルドレンの方々をサポートしてきた私が、よくあるアダルトチルドレンの誤解と、その真実について解説します。
1.アダルトチルドレンに関する誤解と真実
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アダルトチルドレンについては、いくつかの誤解が広まっています。ここでは、主な誤解とその真実を紹介します。
誤解1:「アダルトチルドレンは甘えている」
アダルトチルドレンは本人の意思で生じるものではなく、幼少期の環境による影響です。甘えではなく、適切な対処が必要な心理状態です。
アダルトチルドレンの症状は、幼少期に適切な愛情や安全を感じられなかったことによる生存戦略として身についた行動パターンです。これは意識的な選択ではなく、むしろ無意識のうちに形成された防衛機制です。
たとえば、感情を抑え込む傾向は、幼い頃に感情表現が許されなかった環境で生き抜くための適応行動だったかもしれません。
誤解2:「アダルトチルドレンは治らない」
適切なサポートと自己理解を通じて、アダルトチルドレンの症状は改善可能です。多くの人が回復を果たしています。
アダルトチルドレンからの回復は、長期的なプロセスを経て達成されます。専門家のサポートを受けながら、自己理解を深め、新しい対処法を学ぶことで、徐々に症状は軽減していきます。
認知行動療法やトラウマ療法など、効果的な治療法も確立されています。「治る」というより、より幸せな生活を送れるようになると考えるのが適切でしょう。
誤解3:「アダルトチルドレンは親が悪い」
原因は複雑で、必ずしも親だけが原因ではありません。社会環境や個人の性格なども影響します。
確かに、親の養育態度はアダルトチルドレンの形成に大きな影響を与えますが、それだけが原因ではありません。社会経済的状況、文化的背景、遺伝的要因、さらには予期せぬトラウマ的出来事なども関係します。
たとえば、経済的困難や社会的孤立などの外的要因が、家庭環境に影響を与えることもあります。親自身もアダルトチルドレンであることも多く、世代間連鎖の視点も重要です。
誤解4:「アダルトチルドレンは特殊な人だけの問題」
誰もがアダルトチルドレンになる可能性があります。程度の差はあれ、多くの人が何らかの影響を受けています。
アダルトチルドレンの原因にもなる機能不全家族が、広義の意味では日本の8割だとも言われてます。そういった背景を考えると、アダルトチルドレンは特殊な人だとは思えません。
2.そのほかのアダルトチルドレンの誤解
![2.そのほかのアダルトチルドレンの誤解](https://tatsuyayamagata.com/wp-content/uploads/2024/08/2.そのほかのアダルトチルドレンの誤解-1024x538.png)
これまでにあげた誤解に加えて、おそらく少数派と言える誤解についても触れてみます。
誤解5:「アダルトチルドレン=子どもっぽい大人」
アダルトチルドレンは、機能不全家族で育った経験から、対人関係や感情の表現に困難を抱えたり、自己肯定感が低くなったりするなど、生きづらさを抱えている人のことを指します。
決して、精神的に未熟で責任感がない「子どもっぽい大人」という意味ではありません。
たとえば、周囲の顔色を伺ってばかりいる、完璧主義である、過剰に責任を感じてしまうといった行動は、子どもっぽさではなく、幼少期の家庭環境で身についた防衛機制であると言えます。
さいごに
アダルトチルドレンの特徴は、程度の差こそあれ、多くの人に見られるものです。完璧な家庭環境というのは現実的には存在せず、誰もが多かれ少なかれ何らかの影響を受けています。ただし、その影響度合いや、それが日常生活に支障をきたす程度には個人差があります。
重要なのは、自分の特徴や行動パターンを認識し、必要に応じて改善を図ることです。アダルトチルドレンの概念を理解することは、自己理解と成長のきっかけになり得るのです。
アダルトチルドレンを正しく理解することで、自分自身や周りの人々への理解が深まります。