今回の記事は、アダルトチルドレンとは何か?その基本的な定義について解説します。アダルトチルドレンは、決して特別な存在ではありません。むしろ、日本人の80%が該当すると言われているほど一般的な概念です。もちろん病気でもありません。自分を理解し、本来の自分を取り戻すための大切な気づきの第一歩のために活用してください。
「アダルトチルドレンって何?」「アダルトチルドレンって病気なの?」「具体的にどんな人がアダルトチルドレンなの?」
このような疑問に答えていきます。
★この記事の内容は・・・
- アダルトチルドレンとは何かがわかるようになります
- どんな人がアダルトチルドレンと言えるのかがわかるようになります
- アダルトチルドレンは特別な存在ではないことがわかるようになります
心理セラピストとして、これまでに1000人以上のクライアントをサポートしてきました。その多くがアダルトチルドレンの方々です。それに私自身アダルトチルドレンだったこともあり、特に興味関心を持ちこの課題を研究し生きづらさを解放する実践を行なってきました。
正しくアダルトチルドレンについて理解し、幸せへの一歩を踏み出すためにも、最後まで読んでいただけるとうれしいです。
1.アダルトチルドレンとは?基本的な定義を解説
アダルトチルドレンについて基本的なポイントを解説します。ポイントは3つです。
- アダルトチルドレンとは?
- もとはアルコール依存症の親を持つ子どものこと
- アダルトチルドレンは病気ではない
1-1.アダルトチルドレンとは?
アダルトチルドレンとは、機能不全家族で育ったために、大人になっても生きづらさを抱えている人のことを言います。 決して「子どもっぽい大人」という意味ではありません。
アダルトチルドレンは、幼少期に適切な愛情や安全を感じられなかったことによる生存戦略として身についた行動パターンです。
これは意識的な選択ではなく、むしろ無意識のうちに形成された防衛機制なのです。
心の痛みを潜在意識の中に封印して生き延びてきたので、本来の自分の欲求がわからないといった生きづらさもあります。
広義の意味では、日本人の80%は機能不全家族だと言われているため、アダルトチルドレンは決して特別な存在ではありません。程度の差こそあれ、多くの人が、幼少期の家庭環境の影響を受けています。
1-2.もとはアルコール依存症の親を持つ子どものこと
アダルトチルドレンは、1970年代のアメリカで注目され始め、1990年代に日本でも認知されるようになりました。
当初は、アルコール依存症の親を持つ家庭で育った子どもを指していましたが、現在では虐待や育児放棄など、様々な機能不全家族のケースが含まれます。
日本では、1990年代頃からアダルトチルドレンという言葉が知られるようになり、カウンセリングの現場などでも広く使われるようになりました。
アダルトチルドレンは、生きづらさなどの問題解決に向けたスタート地点となる「自覚用語」です。しかし、日本に入ってきた1990年頃は概念が誤って解釈され、他人からのレッテル貼りに使われたり、「私はアダルトチルドレンだから」といった自己理解のゴール地点のように扱われていました。
アダルトチルドレンは、あくまでも概念であり、病気ではありません。
1-3.アダルトチルドレンは病気ではない
アダルトチルドレンは病気ではなく、あくまで幼少期の家庭環境が原因で、大人になっても生きづらさを抱えている状態を指します。
しかし、自己肯定感の低さや人間関係の難しさなどから、うつ病や不安障害などの精神疾患を併発する可能性があります。
アダルトチルドレンについて基本的なことがわかりました。では、どのような人がアダルトチルドレンなのでしょうか?今回はもう少し深掘りしてみましょう。
2.どんな人がアダルトチルドレンなの?
具体的に、どのような人がアダルトチルドレンと言えるのか、いくつかのパターンに分けて解説します。
2-1. 虐待やネグレクトを受けた経験がある人
身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、ネグレクトなど、親や養育者から虐待を受けて育った人は、アダルトチルドレンになりやすいと言われています。
ネグレクトには、医療を受けさせない医療ネグレクト、教育を受けさせない教育ネグレクト、子どもの金銭を搾取する経済ネグレクトなどがあります。
また、面前DV(子どもに対して暴力を振るわない場合でも、夫婦間で暴力を振るう様子を子どもに見せること)も、子どもにとって大きな心の傷となり、アダルトチルドレンの原因になり得ます。
例)
◉親から日常的に暴力を振るわれて育ち、大人になってからも、些細なことで激高したり、暴力を振るったりしてしまう人。
◉親から無視されたり、否定的な言葉を浴びせられて育ち、自己肯定感が低く、自分に自信が持てない人。
2-2. 機能不全家族で育った人
機能不全家族とは、親がアルコールやギャンブルなどに依存していたり、夫婦仲が悪く、子どもに無関心だったりするなど、子どもが安心・安全を感じられない家庭環境を指します。
このような家庭で育った子どもは、自分の気持ちを抑えたり、親の顔色を伺ったりすることに必死で、大人になっても、人間関係がうまくいかなかったり、自分の気持ちを表現することが苦手だったりする傾向があります。
例)
◉アルコール依存症の親を持ち、常に親の顔色を伺いながら生活し、大人になってからも、人間関係で過剰に気を遣ってしまう人。
◉両親が不仲で、いつも家庭がピリピリした雰囲気だったため、大人になっても、安心できる居場所がなく、孤独を感じやすい人。
2-3. 毒親に育てられた人
毒親とは、子どもに過干渉や過剰な期待を押し付けたり、逆に無関心でネグレクトに近かったりするなど、子どもに悪影響を与える親のことです。
毒親に育てられた子どもは、自己肯定感が育ちにくく、大人になってからも、親の期待に応えようと無理をしてしまったり、逆に親に反抗して問題行動を起こしてしまったりすることがあります。
例)
◉親から「良い子でいなければ愛されない」と教え込まれ、常に親の期待に応えようと努力し、大人になっても、完璧主義で、失敗を極端に恐れる人。
◉親から自分の意見や気持ちを否定され続けて育ち、大人になっても、自分の意見を言うことに抵抗があり、人間関係で苦労する人。
これらの例はあくまでも一例であり、アダルトチルドレンは、育った環境や性格、経験によって、さまざまな症状が現れます。
アダルトチルドレンは病気ではありませんが、生きづらさを感じている場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることをおすすめします。
さいごに
アダルトチルドレンは、家族の中で起きた物語の中で、自分や人や社会や世界に対して、間違って信じ込んでしまった「否定的信念や自分を制限する考え=ビリーフ」に気づいて解放していくことです。
また、傷ついた内なる子供(インナーチャイルド)を癒して、自分に禁止令を出していたことに許可を出してあげること。
そして、子供時代の役割を親に返すこと、自分の人生を生きると決意すること、本来の自分らしさを思い出していくことが大切です。