今回は、マーケティングにおいて基礎的な教えである「マネる」ことについて紹介します。マネることは、あなたが思っている以上に重要です。ビジネスの初心者あるあるなのですが、よく「人のマネはしたくない」「オリジナリティを発揮していきたい」と聞きます。あなたがカウンセラーやセラピストとして起業して1年目〜3年目で、この考え方を持っているならば、今この瞬間手放してください。

「私らしさを発揮したオリジナルのサービス提供するんだ」

「巷の集客法なんて馴染ませない。期間限定?人数限定?キャンペーン?なんだか ”あざとくて” 嫌だ」

「私は私のやり方でビジネスやっていくんだ」

「同業者と同じような企画や告知文はマネするようなことは絶対にしたくない。だってマネしてあの人はうまくいっている、なんて思われたくないんだもん。」

と思ってカウンセラー・セラピストとして活動をスタートしたけど、まったく申し込みが入らず、集客に悩んでいる。何か改善する方法があれば知りたい

このような要望にこたえていきます。

★この記事の内容

・ビジネスはマネすることから始まることが学べます
・オリジナリティを発揮することから始めると失敗することが学べます

カウンセラーとして独立した当初、同業者がやっていない方法で集客活動を始めました。チラシ配りにポスティング、広告にも手を出しました。しかし、結果はほぼゼロ。ウェブの世界での経験でマーケティングの知識があったにも関わらず「他の人のマネをしたくない」のこじれたプライドのせいで失敗続き。そこからは、基本の「型」をひたすらマネすることで集客も上昇気流に乗りました。生徒のみなさんも徹底的にマネすることで成果を出されています。

オリジナリティにこだわっても成果が出ない方は、最後までお読みください。

1.真似してるって思われたくない!自分ビジネス「オマージュ」のすすめ

1.真似してるって思われたくない!自分ビジネス「オマージュ」のすすめ

自分ビジネスは「オマージュ」することから始まります。生徒の方々にはよく、「TTOしましょう」と教えています。TTOとは、【徹底的にオマージュする】ことです。オマージュとは、「尊敬してマネる」ことです。そのため、もう少し具体的に言うと【徹底的に尊敬してマネしましょう】と伝えています。

巷でよく使われている「TTP(徹底的にパクる)」は、個人的あまり好きじゃありません。もうパクる時代ではない気がしています。尊敬してマネるから循環するんです。わたしはよくこの言葉を使うので、よければ覚えておいてください。

さて、前置きはこれくらいに。

ビジネスにおける最重要セオリーに、マネることの大切さがよく言われているので、まずは紹介します。

1-1. すでに成功しているものを真似る

ビジネスにおける最重要セオリーにこのような教えがあります。
「すでに成功しているものを真似る」

オンラインマーケティングの権威であるラッセル・ブラッソンはこのように言っています。

「結局のところ、すでに成功しているものを真似るのが一番だ。驚くべきことに、あまりにも多くの人が、自分の隙間市場で成功しているサイトを調査することもなく、行き当たりばったりで見栄えの良いページを作っておいて、なぜ儲からないのかと不思議がる。うまく行かないのは、実績のある手本に従わないからだ。」(ダイレクト出版:DotComSecrets より)

マネしていると思われたくない、とよく聞きますが、そもそもビジネスやマーケティングの世界は、マネしなければいけないといっても過言ではないということです。

さて、マネる大切さは、ビジネスの分野に限り有効なのでしょうか。

巨匠と呼ばれている人や偉人・有名人たちは何と言っているのか、少しだけ紹介します。

1-2. 破る型がない人に「型破り」はできない

そもそも起業するような人たちは、少なからずより自由を求めたり、より自分のやり方で社会や人の役に立ちたいといった野心家、あるいは冒険家マインドがあると思います。「型」にはまりたがらないというか。だからこそ起業して「型破り」していきたい人が多いように感じます。

しかし、「型破り」するには、破るための「型」がない限り実現しません。では、この「型」とは何でしょうか。それは、先人たちが作ってきた基本の教えであり成功法則です。野球であれば素振り。ヨガであれば呼吸法。トランペット奏者であればロングトーン、といったところでしょうか。そこを飛び越えてはなし得ない部分のことです。

独自の世界を構築し世の中に認められた偉人たちは、「型があるからこそ、型破りができる」ことを知っています。

1-3.マネることを大切にした人たち

1-3.マネることを大切にした人たち
毎日新聞

宮崎駿監督は、20年間高畑勲監督のもとで徹底的にマネることで基礎を築いてきました。話し方、考え方、字や絵の書き方からそのすべてを徹底的にマネしたそうです。

米津玄師は「型」の重要性について、このように述べています。
「俺はオリジナリティー信仰みたいなものが嫌いなんですよ。誰も見たことも聞いたこともないものしか許さない、と言ってしまう感じ。(中略)音楽って、フォーマットじゃないですか。『型』のようなもので成立している部分があるのは事実で、そのなかでいかに自由に泳ぐかじゃないかと。」
「美しいものって、分析して、勉強していった結果、身につくものだと思うんですよね。それをよく理解しないで、“ありのままの自分”とか“素の自分”って気持ちいい言葉でごまかして、自分がどこから生まれてきたのかを考えない。『つまんねぇな』って思います。『“素”って何だよ?』って。」

Apple創業者のスティーブ・ジョブズはこう言っています。「素晴らしいアイデアを盗むことを恥じない」。

星野リゾートのCEO星野佳路氏。「経営に教科書はないと言うが、経営の教科書に書かれていることは正しいと断言し、理論をつまみ食いしないで、まずは100%教科書通りにやってみることが大切です」と言います。

たしかにこの考え方には同感です。そもそもマネる方法さえもわからない状態からスタートすることがほとんどなので、100%マネてみようとTTOを実践することが一番良いでしょう。

1-4.マネすることがビジネスの基礎体力作り

マネすることがビジネスにおける基礎体力作りです。TTO(徹底的に尊敬してオマージュ)することで、ゼロイチで考えている時間が減り、圧倒的に行動量が増えます。行動量が増えるということは、人一倍失敗も成功も経験し、より改善していくため、結果的には良い意味で尖っていきます。いわゆるオリジナリティを発揮することになります。

マネしてると思われたくないから「ゼロからイチを生み出すのが自分の仕事なんだ」などと言っている人は、何もわかっていません。そもそも個性って何ですか?個性とは、感性とも言えます。しかしまた、ある分野において本質を突き詰めていく上で、他人との違いが抑えきれなくなったときに溢れてくるものだと思っています。誰のマネをすることなく「ゼロイチ」と言っている人は勘違いしているか、まだまだ経験が浅いと言えるのではないでしょうか。

まずは徹底的にマネて基礎を作り、その基礎の上に失敗や成功の経験を積み、少しずつ型を破ってオリジナリティを追求していくくらいのペースが、最終的に自分らしさが溢れてくる素晴らしいものになるでしょう。

2.「失敗」への近道はオリジナリティを発揮すること

2.「失敗」の近道はオリジナリティを発揮すること

これまでソレっぽいことを話してきましたが、実はわたしが先陣きってしゃしゃり出て「誰のマネもしないぞー!」とか言って大失敗した張本人なのです。

カウンセラーとして独立開業し、4ヶ月間で売り上げ合計8万円。「誰のマネもしない」と変なプライド掲げた結果がこれです。誰よりも行動し、誰よりも情熱を持っていたと自負しています。それでも現実は8万円でした。

2-1.チラシ配り・ポスティング・広告・で失敗

まず取り組んだのは、カウンセリング募集のチラシ。まずは3,000枚印刷して、近所のお宅を一軒一軒インターホンを押して廻りました。ただポスティングするだけだと捨てられるからです。結果はゼロ。汗水ながして集客をがんばった結果人気カウンセラーになりました的なストーリーを描いていたんでしょうね。。尖りすぎ(笑)

Googleのリスティング広告も出稿しました。もともとプロモーションが得意なのもあり、LPへの集客はうまくいったものの、最終的な申し込みには至りません。そもそもまだブログもSNSも育っておらず、ユーザーからすれば「キャッチコピーはいいけど、そもそも山形ってどんな人?」のニーズを満たせていなかったのです。得体の知れないカウンセラーにカウンセリングを申し込む猛者がいるわけありません。

ここまで来ると、博多弁で言うところの「つやつけた いっちょもん」状態です。カッコばかりつけて調子にのって様になってない人という意味。

マネすることなく自分のやり方で成功したい、という考えはただのエゴだったことにようやく気づきます。マーケティングの基礎に基づき、同業者をオマージュすることに取り組み始めました。

2-2.真実を発信して失敗

2-2.真実を発信して失敗

それでもうまくいかず、中途半端にオマージュして失敗する経験をします。
当時カウンセラーやセラピストは個人カウンセリングだけでなく、勉強会や相談会を開催することで人の役に立つ方法が多くなってきていました。それをわたしもマネします。

しかし、売れている人はこのようなタイトルで企画を打って集客していました。
「たった7秒で怒りがなくなる方法」
「怒りをコントロールする3つのステップ」
「たった3分!悲しみを喜びに変える魔法の言葉」

売れている人気カウンセラーの企画は、どれもこれもキャッチーで受講意欲をそそられるものばかり。しかし、こころのプロからするとそれは本質ではなく、気休め程度の、もしくは応急処置程度の方法であり、根本的な解決はできないものばかりなのです。

そこでわたしは、本質真正面の企画で集客しました。これが本当のことなんだと息巻いて。

「ネガティブ感情は味わうことで解放される勉強会」
「自分を愛する7ステップ勉強会」
「本当のあなたを取り戻す方法」

・・・。
結果、だれも来ませんでした。。

それもそのはずです。マーケティングにおいての大原則があります。それは、「あなたが与えたいものではなく、相手が欲しがっているものを与えなさい」です。

ネガティブ感情を味わうことで感情は癒やされ浄化されることは本質なんだろうけど、今まさにネガティブ感情で悩まされている人にとっては、「今すぐネガティブ感情を取り除きたい」「その方法を知りたい」のです。このニーズに応えることがマーケティングの基本です。

しかし、これを無視してわたしは、自分が言いたいことを言っていただけでした。

2-3.教えのとおりに「型」にはまる

相手が欲しがっているものを与えようと、心を入れ替えます。しかし、自分の中でものすごく抵抗感を感じていました。だって、キャッチーだからって、真実(あるいは本質)ではないことをSNSやブログに出すことに抵抗を感じていたのです。

そのときに意識していたのは、同業者です。特に先輩方や学びを共にした仲間たちです。「山形は間違ったことを発信している」「山形は売れるために曲がったことを教えている」と思われるんじゃないかという怖れがありました。

しかし、そこでウジウジしていても、誰の役にも立てません。真実でなくてもキャッチーに企画した結果、たくさんの人が来てくれるなら、真実ばかり言っているときよりも何倍も役に立てるんだと強い思いをもち新しい企画に取り組みました。勉強会に来ていただいた方に、真実や本質をきちんと伝えた結果、ただしい知識や理解をもってくださる人が結果的に増えたのです。

【キャッチーに集客して参加していただき、真実を伝える】

この方法は、おもて向きには真実を発信しているようには見えないのですが、結果的には真実を知って理解する人が増える方法です。

これを繰り返していった結果、カウンセラー事業が軌道に乗り始めました。

これがビジネスなんだ

わたしにとってマネする壁は、仲間の「目」だったのです。しかし、プロであるならば、フォーカスすべきは同業者でも仲間でもなく、お客様だったのです。独立開業して初めて「これがビジネスなんだ」と肌で感じた瞬間だったように思います。

3.まとめ

マネることの大切さを、どうしてこれほど熱く語っているのか。それは、多くの人がちょっとしたプライドのせいでマネできず、ビジネスで開花しないからです。

マネしないならば、それはそれで独自の方法でどんどん動けばいいと思います。しかし、マネできない人の共通点は、行動もできないということです。だから結果ビジネスで成果がでることはありません。

徹底的にマネして失敗している人はいません。「私はマネしてるけどうまくいってません」という人は、中途半端にマネしている場合がほとんどです。とにかく、ビジネスをスタートした1年から3年くらいまでは、TTOするしか方法はありません。少なくてもわたしはそう思います。

カウンセラー業界でも、大御所や大人気の人ほどTTOしています。売れっ子になってもずっとTTOしています。ビジネスやマーケティングを知ってらっしゃるんですね。こういった方々がTTOされているのに、1年目や2年目の新米カウンセラーがTTOせずにどうやって事業を成り立たせる方法があるのでしょうか。

大切なのは、あなたが与えたいものではなく、相手が欲しがっているものを与えて、どれだけ人の役に立てるかです。

では、どんなことをTTOすればいいのか。
「リサーチとモデリング」という方法があるので、お楽しみに!

あなたのことを応援しています。